第58回岩手読書感想文コンクール中学校・最優秀賞

ロボットを作りたい

北上市立飯豊中学校1年

及川(おいかわ) 莉奈(りな)

私のなかにみんながいる

 私がロボットを作りたいと思ったのは、レストランで見たロボットがきっかけだった。シンプルな顔に、ぎこちない動き。私の生活範囲内で初めて見たロボットだった。注文された料理を間違うことなく席に運ぶ。技術の高さに驚いた。あのときのドキドキは、今でも忘れられない。

 それからは、将来の夢の一つとして、「いつか自分でロボットを作りたい」と思うようになった。だから、「『私のなかにみんながいる』? AIロボットと教育哲学」という題にひかれて、本を手にとった。

 私は、ロボットというと今まで人型ロボットを想像していた。けれど、圧倒的に多いのは、無人の工場などで腕だけのような、人の形をしていないロボットだと知った。数の少ない人型ロボットで私が注目しているのは、アバターロボット「オリヒメ」だ。障害がある人が遠隔操作で接客する分身ロボットである。調べてみると、盛岡市にもオリヒメが活躍しているレストランがあった。それだけでなく、このロボットの発想は盛岡市出身の番田さんという方が関わっていたことも知った。私の中でぐんと身近になったオリヒメは、障害者の方々に働く喜びや社会につながる充実感や生きる希望を与えている。この遠隔操作ができるということはロボットの魅力だと思う。災害が起こった際、危険な場所に人が行かなくてもすむという無人化施行技術がどんどん取り入れられている。廃炉処理の現場では沢山のロボットが人知れず働いているそうだ。読めば読むほどロボットはただの道具ではなく、人の世界を広げたり、命を守ってくれたりしている存在だと感じる。

 そのロボットになくてはならないAI(人工知能)はどんどん進化していて、二〇四〇年には人間の知能を超えるかもしれないと言われている。矛盾しているかもしれないが、実はAIに対して少しだけ苦手な気持ちがある。以前、文章の直しをお願いした際、びっくりするくらい良いと思う文章ができあがっていた。だけど、なぜか言葉にできない冷たさを感じた。自分の気持ちがちゃんと伝わっていないようにも思えた。それに、あまりにも巧みな言葉や本物みたいな画像をつくれるから、不信感を感じてしまう。そういったものを悪用する人もいる。ロボットの研究で有名な浅間一さんが、この本の中で「共感」は体の感覚がないとむずかしいと言っている。つまり、AIは人の気持ちを本当にはわからない。だから、「ちょっとちがうな」「冷たいな」「信用おけないな」と感じるのかもしれない。

 それでも、この本を読んで、ロボットとは「対話」ができるかもしれないと思った。ロボットは命令に従うただの機械じゃなく、直接的に人と協力できる存在になることができるのだ。とくに心に残ったのは、「助け合う協調」をロボットに学ばせるという考え方だ。人の中には、周りの人の気持ちを感じる力がある。それをロボットにも学ばせることで、もっと優しいロボットができる。「何が起こったとしても、それは他人事ではない、自分のことだと感じられることにつながり、みんなが、自分にも責任があると考えられるようになる。」といった「私の中にみんながいる」という教育哲学をロボットに取り込んでいくことで、ロボットの協調性も進化していくということだと思う。ロボットが私の悩みを聞いてくれて、私のことを理解してくれた上で、話し相手になってくれる。解決法も教えてくれるだろう。労働だけでなく、直接心も支えてくれる存在になっていくのだ。

 私はロボットを作りたいと思うと同時に、ロボットを通して誰かを救えるようになりたいと思った。この本はその可能性をくれたように思う。

※無断での転用・転載を禁じます。