第58回岩手読書感想文コンクール小学校中学年・優秀賞
本の世界は十人十色
岩手大学教育学部附属小学校4年
髙屋 葵
星空としょかんへようこそ
「夜空に数えきれないほどの星が輝いているように、本のなかにも、読んだ人の数だけ、物語が輝いている」
星空としょかんにたどり着いたなずなにまほうつかいが言ったこの言葉は、「星空としょかんってどんな図書館だろう」とワクワクした気持ちで本を手に取り、一気に読み終えた私の心に強く残った。
主人公のなずなは、かいぶつみたいな洪水で両親をなくし、同じようなきょうぐうの子ども達が住む家で妹と弟とくらしている。クリスマスの日、サンタクロースがなずなと妹のまりあのプレゼントを間ちがえ、なずなの元に『フランダースの犬』という本がとどく。悲しい話になみだが止まらなくなったなずなは、もしまりあがこの悲しい本を受けとってしまっていたら…と腹を立て、直接文句を言おうとサンタクロースをさがし回る。そしてたどり着いた星空としょかんで、サンタクロースの正体だったまほうつかいが、なずなをネロとパトラッシュが幸せにくらしているもう一つの『フランダースの犬』の世界の旅へ案内してくれたのだ。
私はまほうつかいの言葉から、『フランダースの犬』を読んでネロとパトラッシュが死んでしまってかわいそうだと感じる人、ネロとパトラッシュが最後に会えてよかったと思う人、実さいに、まほうつかいが見せてくれたようにネロとパトラッシュが幸せにくらしている世界を想像する人など、様々な人がいるのだと気付いた。つまり、どのような話なのかを決めつける必要はなく、本を読む人によって感じ方は様々で、感想もちがっていて当たり前なのだ。
また、同じ人が同じ本を読んでも、読んだタイミングによって感じ方や考えることがちがうということにも気付いた。実さいに、何度も『星空としょかんへようこそ』を読み返すことで、なずな達のつらさやさみしさに目が向いたり、「『フランダースの犬』を自分でもまた読みたいな」と思ったりと、私の中に新たな気付きや感情が生まれた。今までの私は、一度読んだ本はあらすじを理解すると満足してしまい、時間をおいてまた手にとって読むことはほとんどなかった。そんな私に父が、「一回読んだ本でも二回目に読むと新たな発見があるかもしれないよ」と言っていたことを思い出した。今になってやっとその言葉の意味が分かった気がする。これからは、家族や友達と本の感想を伝え合ったり、同じ本でもちがう時に改めて読み返したりして、もっと色々な方法で読書を楽しみたい。
星空としょかん、それはもう一つの世界への入口。私もなずなみたいに物語の星空を旅してみたい。そして、私の物語の星をさがしたり、私以外のだれかの星を見たりして、私の世界を広げていきたい。
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